元・医療事務員の呟き
学校と現場の違い
無事就職したのは良いのですが、学校と仕事の違いに悩まされる日々が続きました。これほどまでに社会というのは厳しいのか…と現実を目の当たりにするのと同時に、憧れていた医療事務がそんなに甘いものではなかったと感じました。
遅刻は厳禁!
朝が弱い私は授業が一限からある時には恥ずかしながら何度か遅刻をしていました。一限が始まるのは9時20分。家から学校までは10分もあれば着くような場所だった故に余計油断をしてしまっていました。
社会人として“遅刻”というのはあってはならないものです。遅刻をするということは「決められた時間を守る事ができない」「集団行動を乱す」というように見られてしまいます。職場での信用を無くすということは重大なことで、仕事を任されている身であるにも関わらず「この人に仕事を任せても平気なのだろうか」と思われてしまうということは自分にとっても採用している側によっても大きなダメージになりえるのです。
遅刻しないようにした結果…
私の職場の医療事務員は朝の7時半に仕事が始まります。7時には病院が開いている為患者様は既に待っており、事務室の掃除から始まり職員の飲み物の用意やカルテの準備を8時15分までにこなし、8時半からは通常業務です。学生時代は一限からでも8時に起きていたりしたので、最初はその時間の違いに戸惑っていました。
そんな事から、仕事は絶対に遅刻が出来ないと自分でも気付かぬうちに気を張ってしまい、どんなに眠くても眠れない、やっと眠れても1時間2時間起きに起きてしまう、といったような不眠症状に悩まされたりもした事もあります…。いくら遅刻してはいけないと言っても、思いつめすぎるのは危険ですのでお気をつけ下さいね。
授業と全然違う現場
いくら学校で優秀な成績を収めていたとしても、実際の現場に立つと授業とは違うスタイルに混乱することでしょう。私自身、学校では決して悪い成績ではなかったにも関わらず職場で何もわからない何も出来ない、といった本当の役立たずになっていました。
授業で習うのは、あくまで“基本”に過ぎません。そして“変則”が現場、と憶えたほうがいいでしょう。
基本で「この点数はこういった時に算定できる」と習っても、自身が勤める職場が「うちではこの場合に算定します」と言えばそちらに従わなければなりません。
“診察をしている場合に算定”や“電話再診では算定できない”と言ったような曖昧な基準の点数は特に注意が必要です。その職場に勤めている以上はその職場に染まらなければならないので、こればかりは職場を変えて病院が変わるたびに悩まされるものなのではないでしょうか。
学校で習った事が使える嬉しさ
それでも、学校へ通っていると医療事務以外の授業もある為自然と違う知識も身につきます。私の学校で言えば、秘書実務やビジネス実務がとても役に立ちました。お客様への対応や言葉遣い、電話の受け答えなどが学べた事が、新卒で就職するにあたってとても役に立っていたと感じます。
また、医事コンピューターの授業も電子カルテが普及しているこの時代にはとても有利なものでした。電子カルテにもBMLやORCAといったように何種類か種類があるのですが、それでも根本的な動作は同じなので習っていて損をするというのは絶対にありません!
実際、学校で習っていたレセプトコンピューターと職場で使っていたレセプトコンピューターは作っている会社が違ったのですが、それでもやはり“レセプトコンピューターを弄っていた”ということからか操作方法もすんなりと憶えることができました。
こんなことまでやるの?
医療事務の仕事というのは、学校で教えられるような点数計算だけではありません。学校で教えているのは、あくまで“医療事務の資格を取る為”の勉強なのです。点数計算だけが医療事務の仕事ではない、と先に言いましたね。
勿論、その仕事内容は病院によって変わりますが…私の病院では、受付・点数計算・お会計の他にも職員への珈琲出しやお客様対応といったような秘書業務や、待合室の掃除や子供用に置いてある本の修理(破れていたり折れていたりするので…)、午後のお金が足りない場合には昼休みの間に銀行へと両替しに行ったりしていました。
また、在学中におこなった病院実習でお世話になった婦人科クリニックでは、事務員4名と医者という本当に小さなクリニックだった為に私達事務員が看護助手の役割も任されていました。実際に治療で使うタンポンを(婦人科クリニックなので)事務員が手作りしていたり、実際に先生の隣に立って治療に使う薬を出したり治療道具を出したりという本当の看護助手作業をしたりもしていました。
患者様の元気が私の元気に
よく医療事務員のコラムなどを読むと、患者様との触れ合いについてかかれているものです。確かに医療事務員は患者様とお話しする機会も多く、沢山触れ合うことの出来る職種でもあります。
職場でも、田舎な故患者様が数名というような状況が多々あり、患者様が受付まで来られて私達に話しかけてくるという場面も多くありました。なんの他愛もない話なのだけれど、普段生活していてお年寄りとこんなに多くお話しする機会などなかなか無いもので、しかもその話題というのが自分の生まれ育った町のことやご近所さんの事などなので、無理に知らない知識を詰め込まなくても充分楽しい会話が出来るのです。
「こんなの学校で習ってない!知らない!」と、慣れない業務にイライラしていた時でさえ、患者様とお話ししている間はとても幸せでした。勿論お喋りばかりしていては駄目なのですが、かといって業務の邪魔と邪険にするのは医療事務員としてどうかと言われたらそれは間違っていますよね。
患者様の為にも病院の為にも、そして自分自身の為にも患者様との触れ合いというのはとても大切で、そして何より嬉しいことでした。
仕事をスムーズに進める為に
「医療事務は楽でいいよ」と良く聞きます。
大きな病院や小さな病院という施設状況や個人の考え方次第で「この仕事が楽か大変か」という表現は変わりますが、私が感じたのは「決して楽な仕事では無い」という事です。
田舎の病院故の特徴にまず苦しめられ、職場環境にも苦しめられ…とまったくいい事は無かったように思えますが、やはりその中でも患者様と触れ合えるのが唯一の救いでした。
まず、「患者様の顔と名前、家族構成を全員憶えなさい、仕事はそれから。」と先輩に言われ、それだけで何ヶ月も医療事務としての仕事をさせてもらえなく初めから学校とは違う環境に苦しみました…
それでも、やはりそういった事を覚えていくと『この患者様はこういう方』『この患者様はこの方とご家族なのでカルテを予め2人分準備する』というように、仕事がスムーズに進むようになっていきました。
個々の患者様の事を知って良くと、自然と患者様との会話も弾み、親しみも込められてきます。そういう面では、確かに顔と名前を憶えていた方が後々、仕事がよりスムーズになるのだと感じました。
慣れないことばかりで…
患者様を全員憶えると仕事がスムーズになる…とは言っても、それはあくまで全員を憶えた場合…。先輩はもう20年近くもこの病院で勤めているベテラン中のベテランでした。医療事務員は私とその先輩の2人。そして私には経験がないものだから、慣れない現場にただ戸惑って毎日を過ごしていただけでした。
いくら努力しても、20年のベテランには到底適わないもので、私の力は全然足りません。私としては“医療事務だって始めてだし、社会に出たのも始めてなのだから教えてもらって当然”という考えを持っていたのですが、その考えがそもそもの間違いでした。新人というのは『教えてもらって当たり前』ではないのです。わからなくて当たり前、だけど、教えてもらう前に自分で努力しなければならないのです。中途半端な努力ではなく、20年のベテランなんかに負けないぞ!という意識を持って頑張らなければならなかったのです。
退職を決める
私がそういった意識が必要なのだと感じたのは既に職を離れてからです。慣れ親しんだ自分の町。病院。そして憧れていた医療事務。しかし、初めての仕事とあってか理想と現実の違いに体がついていかなく体調不良が続いてしまい、一時離職を決めました。半年働いたので経験にはなる、と考えた末での離職です。
院長は「落ち着いたら戻ってきていいよ」と言ってくれましたが、私はこの経験を活かして次の職場へと行こうと思います。職種は勿論『医療事務』。辛い思いをしたのに何故また医療事務を選ぶのか、と言われると、やはりそこには患者様との触れ合いで得たものが大きかったのかな、と思います。
事務員の私の名前も顔も覚えてくれたり、私自身が気付かない程の不調にいち早く気付いてくれたり(声が若干低くなっていたそうです。後に風邪の引き始めとわかりました…)、自分を必要としてくださる事がとても嬉しかったのです。
“自分を必要としてくれる”というのはどの職にもあるかもしれませんが、私はこの職で始めてこの感情を知ってしまったので、愛着…といっては可笑しいのかもしれませんが、やはり次に就くのも医療事務がいいな、と思ってしまいます。
今回は田舎の医療事務をこってりと堪能したので、次は都会の病院で医療事務がしてみたいと思っています。そして今度は都会ならではの経験を積んで、様々な経験のある医療事務員として知識を糧に後輩を育てて行きたいな、と思いながら、職を離れた今でもひっそりと自宅で医療事務の勉強をしている毎日です。
近所の医療事務 講座を"簡単一括資料請求"
|
修了生160万人の実績!スクーリングも全国に500教室。
|

